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綾時くんと主人公、と順平(+アイギス)
日常小話。
主人公の名前は「弓月 暁(ゆづき あきら)」でお願いします。
暁はあまり物事に対して思考時間を割こうとしない。即決即断が基本だ。
考えることが嫌いなんだときっぱり言われ、だったら学校の成績は常に上位にいるのはどうしてなんだよなどと理不尽な気持ちになる。それを直接問うと返ってきた答えは「考えて答えが出ないものに対しての思考が無駄だと感じるだけだ」というものだった。そんなことを言っても、テスト用紙に書かれた数式は順平には考えても全く理解できないことがしばしばあるのだが、それはどうなんだ。
そんな暁が珍しく迷っていた。誤って引っ掛けて壊してしまった傘を買いなおすためにポロニアンモールに出てきたときだった。
「傘なんか別になんだっていいんじゃねーの?」
「確かに、雨を凌げればいいんだけど」
そう言う彼の手には2本の傘が握られている。
「持ちやすいけど色が派手。持ちにくいけど落ち着いた色」
「あれだ、どーれーにーしーよーかな、でいーじゃん」
「……こっちにするか」
順平の意見は暁の判断に消された。
悩んでたんじゃなかったのかよ。
「直感だ」
あーそうかい。
後日、雨の日。
下駄箱の前に男3人。
「あー雨だな」
「雨だね」
感動の程でもないと思うのだが、暁は突っ込まない。面倒だから。
「あ、綾時のその傘」
「え、どうかした?」
「こいつが迷ってたやつだ」
「……ああ、そうだな」
「え、そうなんだ。僕これ見てすぐに決めちゃったけど……あ、でも弓月くんが持ってるその傘もいいなあ」
綾時が暁の傘をのぞき込んだ。
「もしどちらか片方しかなかったら、迷わず選んでる」
「じゃあどうして君はその傘を買おうと思ったの?」
「直感だ」
順平に言ったのと同じ答えを綾時にも返した。
だが、その続きがあった。
「別の日だったり別の時間だったら同じ判断をしていたかどうかなんて分からない」
綾時の選択を自分がすることもあっただろう、と暁は言った。
「あ、でも僕も買うときにもしその傘があったら「暁さん」
突然の声に振り向くと、仏頂面したアイギスがずんと立っていた。
「雨です。早めに帰宅したほうがよいと思われるであります」
「……ああ、今帰るところ」
「そうですか。では行きましょう」
アイギスは暁の腕をつかむと傘も差さず、返事を待つこともなくそのまま引きずっていってしまった。
途中で暁が諦めて、アイギスに傘を差し出しながら二人で歩いていく。
「アイギス……」
「僕、本当に何かしたかな……?」
―――――
暁が選ばなかった可能性を綾時が選んでるって話を書きたかったんだけど、単に好みが似てるね、ってだけの話になってしまった気がするorz
ちなみに彼の成績は学年トップではない。面倒だから上位キープで終わり。とろうと思えば簡単にトップ取れる人(笑